11月8日 季(とき)を楽しむ 報告

〜大切な着物を自分のものとしてより楽しむために〜

 昨今の世の中は「終活」とか「生前整理」という言葉が一人り歩きして「不用品買い取ります」と「遺品整理承ります」などのキャッチコピーがあちこちで目につくようになりました。 人の一生は物との関わりと切っても切れない関係があります。「人間本来無一物」と悟りを開くのはえらいお坊さんにお任せするにしても私達凡人には無一物な生活などあり得ない事です。
 そのような状況の中で、最後までこだわりがあって手放すことが難しいと思えるものはやはり衣類です。そしてその中でも和服は特に処遇に頭を悩ませるものではないでしょうか。

 親が自分のために見立ててくれた思い出や、自分が好んで、やりくりしながら手に入れた思い入れのある着物がタンスの奥深くひっそりと眠っている。という情景は案外数多くの家庭に見られることと思われます。

 いつかはどうにかして処分をと考えているのなら、その前に和服を生かして楽しむことを試してみるのはどうでしょうか



 私達の勉強会では、ここ数年「季を楽しむ」と題して、お茶の世界を
垣間見てきましたが、何度、かささやかなお茶会を開いて楽しんでいた折に、着物とその立居振舞について話題にあがりました。
加齢にともない「正座がむつかしい」「帯がちょっと苦しい」などの声を聞いて、着物ではなく、袴にしてみてはどうか。また、作務衣などではどう
だ?という話で盛り上がりましたが、この度、一着の着物を2部に分けて、巻きスカート・上衣一揃えを制作してみました。着物の良さを残して簡単に気楽に着られて帯の苦しさもない。そんな新しい和服の楽しみ方をこれからも模索していきたいと考えています。

 着物にハサミを入れることはいつでも勇気のいることですがまずはウールの着物から、そして紬、小紋から無地、つけ下げへとはばを広げて楽しんでいけたらいいなと思います。

 大切にしまって次の世代へ譲り渡すことも結構。しかし、扱いの知らない世代へお荷物にするくらいならば、今、着て楽しむことに罪悪感を持つ必要はありません。

 気軽に着こなして、外へ出かけましょう。もちろん家で楽しむのも素敵です。

  
 主催 NPO法人 生涯教育学会
ライフロングエデュケーションソサエティ
理事長 櫻庭修
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